お客様より、ミッションがおかしいということでお預かりした、07yキャデラックエスカレード。
具体的な症状は、突然ミッションが繋がらなくなったり、シフトショックが大きくなったり…。
TECH2にて診断すると、DTC的にはソレノイドバルブ系の機能不良等の入力。
しかし、テスターで実測を確認しながら走行テストを行うと、どうもバルブといったエレクトリカル系の不良ではなく、ハイドロリック系…油圧リークが発生していると判断。
距離も結構走っておられるので、リビルトミッション等への交換を思案するも、プライス的に…なので、バルブボディを降ろして点検。
ちなみにミッションは、6L80E型の電子制御式6速AT。
この型からエスカレードのミッションは、バルブボディにプログラムされたTCM（ミッションモジュール）が内臓されているタイプなので、エレクトリカル系を取り外しバルブボディ単体のチェック。
バルブボディを分割すると、内部は油圧通路の迷路のような構造になってます。
…簡単に言えば、TCMで制御されるソレノイドバルブの作動により、油圧通路を可変させて変速を行う仕組み。
そのため油圧通路内の必要な箇所にチェックボールが存在し、油圧が発生するとボールの作用により一部の通路を遮断させたりするのですが…
お分かりでしょうか？上のボールと下のボールの違い。
下のチェックボールが、明らかに小さくなってしまってます。
合計7個装着されているチェックボール、そのうちのひとつが磨耗より、極端に小さく変形。
バルブボディのアッパーボディ/ロアボディー間に装着されるプレート。
あれだけ小さくなると、プレート内の通路孔を塞ぐことが出来なかったり、逆にくい込んだりしてしまい、正常な油圧を伝えれずにリーク＝変速不良等のトラブルというシナリオ。
バルブボディのガスケットキット内にボールも含まれるので、分解/洗浄後に組替えてのバルブボディO/H。
あとはAT本体のディスク等の磨耗が心配ですけど、これだけで済めば部品代はもちろん、ミッションを降ろす手間も要らないので、かなりお安く修理できます。
UG/yoshida
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