バルブタイミングの過剰遅角による失火/リンカーンナビゲーター

自走するのが困難なほどエンジン不調状態に陥った、2007yリンカーンナビゲーターの診断です。

 

エンジンのパワーバランスを測定すると、No5/6/7/8と左バンク全ての気筒が失火状態

 

念のため相対圧縮を測定すると、No5及びNo8シリンダーの圧縮圧力が正常値を保っていません。(No7及び6も低め)

左バンク側気筒の圧縮圧力が低下している為、シリンダーの正常な爆発力が得られず失火してしまうのは当然の原理。

上記圧縮値を確認すると、No5&8の圧縮低下=エンジンの分解作業が必要と誤診してしまう内容です。

 

ナビゲーターに搭載されている3Vエンジンには、可変バルブタイミング機能が備わっています。

油圧で制御されるカムアジャスターの機能不良が発生すると、バルブタイミングにズレが生じます。

 

クランキング時に左バンク側に大幅な遅角が発生している状態だと、先の測定値のように圧縮が保てない位置へと可変しているので、左バンクは正常に機能できません。

 

このカムアジャスターは各バンクに設けられたVCTソレノイドバルブで制御しているのですが、このソレノイドバルブの作動不良が発生するとカムアジャスターをコントロールすることが出来ず、結果バルブタイミングに過大な影響を及ぼします。

今回のナビゲーターは左バンク側VCTソレノイドバルブの固着が原因で、カムアジャスターやタイミングチェーン等の機械的ズレも診うけられず、部品交換後は正常なエンジン回転へと無事復帰です。

 

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