エンジンから「タンタン…」と打音が発生し、エンジン不調&チェックエンジンの警告ランプも点灯してしまっている、2009yリンカーンナビゲーターの診断です。
とりあえずは入力されているDTC(故障コード)を確認すると、各シリンダー失火検知の他に可変バルブタイミングに対する制御不良をも検知しています。
DTC内容及び実測値診断を考慮すればVCTソレノイドバルブシステムの制御不良等を疑うのですが、それと共に発生してしまっている派手な打音は別問題かもしれません。
シリンダーヘッド周辺から異音が聞き取れるので、バルブカバーを取り外して内部の確認作業の進行です。
分解点検を行ったところ、右バンクの一部のロッカーアームローラーが激しく摩耗し、その損傷によってバルブリフトに影響し打音及び失火症状も発生。
このロッカーアームトラブルはフォードの3バルブエンジンでは事例の多い故障内容で、摩耗したカムシャフト及び品番変更されたロッカーアームに全て組替作業となります。
このロッカーアームトラブルが、単に旧品番によるものとか 経年劣化によるもの等だけの問題であれば…ですが、オイル潤滑不良に起因している可能性も否定できません。
例えばオイルプレッシャーセンサー値の数値は問題なくとも、一部のアクチュエーターのリークにより供給されるべき油圧が低下。
今回のナビゲーターで言えば、タイミングチェーンテンショナーのシールが損傷しており、それによって油圧制御のテンショナーからオイルプレッシャーリーク=油圧損失によるエンジンパーツ損傷やVCTソレノイド制御機能への影響も考えられます。
こういった末端部での油圧リークによるトラブルは、メインプレッシャーセンサーだけの実測では判断出来ないケースが多く、またそれを見落とすことによって修理後に症状が「再発する」「完治しない」といった事態にも陥ります。
また異音打音等が発生しているエンジンでは対処が遅れると、例えばカムホルダー部の摩耗進行等によりシリンダーヘッド再使用不可になる故障へと発展する可能性もあるので、早期に対処が必要となります。
修理完了後はVCTの実測制御を時間をかけて点検し、正常な制御と共にエンジンの安定した回転を確認して作業終了です。
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