ある日突然、何の前ぶれも無く、エンジンがかからなくなった、W204型ベンツC63/AMG。
プッシュスタートボタンを外してキーを挿入しても、キーは廻れどキーON状態になってくれず無反応…。
このような状態だと、いくら現車にSDconnectを接続してXENTRY(ベンツ純正正規テスター)を起動させても、テスターと通信しないのでECU診断が実施出来ません。
何故なら、キーオン状態でなければ全てのECUが立ち上がらないので、テスターとのCANコミュニケーションがとれずに車両認識が不可能。
また、運よく一時的に車側が復帰したとしても、キーオンになっていないので、各ECUには不具合を認識するDTCの入力は皆無状態ということもあります。
上記の症状から、ベンツ修理経験値のある工場では特に、EZSトラブルによるものと判断しがちな内容。
いわゆる「エレクトロニックイグニッションスイッチ」部位の総称であり、セキュリティの厳しいベンツでは、まず正規ディーラー権を取得していなければメーカーからの入手は不可能といわれる「外販禁止指定部品」。
しかし実はEZS以外にも、可能性の高い不具合原因部位が、このW204型には存在します。
問題は、キーをEZSに挿入した際に、車両側がスタートOKを許可する状態であるか否か…。
ステアリングコラム奥に装着されている、ELVと呼ばれるエレクトロニックステアリングロックユニット。
キーを挿入した際に、車側が=EZSが許可すれば、ELVがロック解除を行い、次のステップ=キーオン状態へのアクセスが可能。
このELVの内部不良…例えば内部ロックモーターの動作不良等が発生すれば、今回のC63のような症状に陥ります。
ただし、ELVも基本的に「外販禁止指定部品」…ですが、現物修理による再生が可能な場合も多々あり、今回のC63も無事解決に至りました。
UG/yoshida
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