動かないシフトレバー/ベンツSL500

業者様よりご依頼で、レッカーにて入庫してきた、R230型ベンツのSL500。

故障内容はシフトレバーがPポジションから動かないという、この型のベンツのフロアシフト故障の定番パターン。

ブレーキペダルスイッチの不良という場合ありますが、最も多い原因はセレクターレバーモジュールの内部不良。

セレクターレバーモジュールは、その内部がCANで制御されるECUになるので、交換の場合はオンラインによるSCNコーディングが必要。

しかも車体番号がプログラムされる「盗難防止関連部品」の位置づけで、メーカーの姿勢はディーラー以外の外販禁止指定部品に属しており、もちろん中古部品は使用不可（一度車番がプログラムされると他車での使用不可）。

しかし、そのような高価な部品を交換してプログラム等の無駄な出費をしなくとも、この手の故障は内部のメカニカル的な部位の損傷がほとんど。

R230に限らずW220やW215も同様、セレクターレバーモジュールを分解すれば、エレクトリカル部の損傷は殆ど皆無。

ご存知の方も多いでしょうが、シフトロックで動作する樹脂製のレバー。

今回のセレクターモジュールも、内部を分解して確認すると、この樹脂製で出来たレバーにクラックが発生しており、正常なレバー動作が行えない状態。

純正部品では供給していない、このメカニカルパーツ。

しかし、社外製品で劣化対策を考慮して、アルミ合金製のレバーが多く存在しています。

今回のSLもこのアルミ製のパーツに組替え、無事シフト操作が行えるようになりました。

ベンツでは基本的に、シフトレバーがパーキングポジションだと、セレクターの取外しが行えない構造。

特にR230型では、Pの位置だとウッド製の化粧パネルが、物理上取外すことが不可能なので、完全にPから全く抜けなくなる前の「時々抜けなくなる」前触れ症状時に修理されるよう…全くPから抜くことが不可能な状態だと、セレクターレバー内部を無理やり破壊する感じでPから抜くことになり、その場合は破壊状態のため内部修理が効かない場合もあり＝ディーラー同様のAssy交換＋プログラミングという可能性もありますので。

UG/yoshida

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