イグニッションキーを操作してもセルモーターが全く廻ろうとしないトラブルに陥った、2007yクライスラー300C/SRT8(ディーラー車)の診断/修理作業です。
メーター上はキーON状態になりますが、同時に赤いランプが点滅=セキュリティが解除しないとなっています。
しかしwiTECHで診断しても、セキュリティ解除を行わないエラー等の故障コード入力は存在しません。
この時点で挿入しているキーの不具合や、車両側のセキュリティモジュール(WCM)の不具合の可能性は低いと考えられます。
ディーラー車にはUS並行車と異なり、ステアリングロック機能が装備され、ELVと呼ばれるロックユニットがステアリングコラムに付いています。
テスターで実測等を診断した結果、今回のトラブルはELVの制御作動不良と判明。
キーシリンダー部に装備されているWCMが、挿入されたキーを正常と識別出来ればパーソナライズ化されたELVがロック解除を行い=WCMへの始動許可というのが本来の流れ。
こういったセキュリティに関わるユニットは、全て車体番号がプログラムされた固有化部品の為、基本的には他車に使用された(プログラムされた)中古部品の利用は不可能。
その為、新品のELVを入手して車両へと構成プログラムを実行することになるのですが、ことクライスラー/ダッジ系ではELV単体だけの交換では正常に作動を行いません。
ディーラー車の300Cの場合、ELV交換時は同時にWCM(ワイヤレスコントロールモジュール)も新品部品へと交換しなければ互いにパーソナライズ化されずに起動しません。
(WCMとELVは、一度結合したら他の部品とは互いに再結合できない)
…しかし残念なことに、この年式のLX系のディーラー車用WCMは、既にメーカー供給終了となり新品入手不可=正規ディーラーでは修理不可能と告知される内容です。
並行用とディーラー用ではWCMが異なり、ディーラー車用には並行車用には存在しない端子がひとつ追加されています。
プログラムデーターのマッチングが合う並行車用のWCMが入手出来れば、ELV排除化によるセキュリティ解除も可能ですが、現在並行車用のWCMも納期未定状態…。
(上記内容の詳細はこちら→セキュリティトラブルによるWCMデーター移植処置/クライスラー300C – UG メンテナンス工場 (ug-jpn.com))
今回はWCMは既存のまま、入手出来たELVのデーター転送移植法によりパーソナライズ化に成功。
無事エンジンも問題無く始動可能となり、もちろん新品のELVなのでステアリングロック機能も正常作動です。
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