エンジンのウォーターハンマー現象によるトラブル…ウォーターハンマーとは、エンジンのインテーク内に水が吸い込まれることにより発生するエンジン破壊症状。
エンジンの回転サイクルでは、ピストン上昇に伴って吸引された混合気を圧縮しプラグ着火で爆発という行程がありますが、水が吸引されてしまうと…そもそも水は圧縮できない=ピストンが上昇できずにロックします。
エンジンが回転中にこの事態に陥ると、クランクの回転慣性によってクランクシャフトとピストンを連結するコンロッドは、いとも簡単に破壊され、ブロックに過大なダメージを与えます。
今日、UG周辺では一時、凄まじいゲリラ豪雨が発生しました。
このようなゲリラ豪雨では、道路の冠水はもちろん並走する車両からの大量の水飛沫によって、場合によってはインテークより雨水が吸引されてしまう可能性があります。
以前にお預かりした、2016yダッジチャレンジャーSXT。
ゲリラ豪雨時の走行中、突然エンストし、その後はセルが廻らず…。
クランクシャフトをレンチで廻そうとしても全く廻らず…インテークのダクトを取り外すと、大量に水が吸引された痕跡。
インテークマニを取り外すと、インテークポートに雨水がなみなみと溜まっている状態。
これらの吸引されてしまった雨水は、一気に燃焼室へと導かれてしまうので、回転中のエンジンでは深刻なダメージを与えます。
先にも述べたように、混合気という気体と異なり「水」は圧縮できないので、ピストンが水に対する容積分 上昇できません。
しかし作動中(回転中)のエンジンでは、クランクの回転慣性やアクセルワークによる回転発生トルクによりピストンを上昇させる力が働き、互いを連結するコンロッドは簡単に破壊されます。
コンロッド破壊によりクランクはロックしてしまい、エンジンブロックに致命的なダメージを与えます。
このSXTのエンジンもそうですが、シリンダースリーブの肉厚を考慮すると、損傷したシリンダーの再生は非常に難しい状態に陥ります。
再生修理が不可能=エンジンの換装…ウォーターハンマートラブルにはくれぐれも注意してください。
UG/yoshida
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