エンジン回転に比例して異音及び振動が感じられる、R231型ベンツSL550の作業です。
アイドリング時でもステアリングに振動を体感し、一般的な車両ではエンジンマウントの劣化だけを予測するような症状。
しかしSLクラスには、先代のR230型よりABCと呼ばれるアクティブボディコントロール機能が装備されているモデルが存在します。
V12搭載の600やクーペモデルにも採用されているこのABCシステムは、あらゆる走行状況下で常に車高を水平に保持し走行性能を高める為に、瞬時に4輪の減衰力変動を目的とした電子制御式油圧コントロールサスペンション機能となります。
R231に搭載されるM278エンジンでは、ベルトで駆動されるABCハイドロリックポンプがエンジン中央部に装備され、各コントロールバルブへと油圧を供給しています。
そのABCポンプから発生するABCシステムプレッシャーは約200バールと非常に高圧で、このハイプレッシャーシステムによりコーナリング時等のGに対しリニアに各ストラット減衰力調整を可能にしています。
その非常にハイプレッシャーな油圧ラインが故に発生してしまう流動音や脈動的な振動を低減する目的で、ABCシステムの必要な箇所にアキュームレーターが各々装備されています。
しかしアキュームレーターの劣化によりダンパー機能が損なわれると、車体のあらゆる箇所に配管されているABCプレッシャーラインから脈動音が発生してきます。
先にも述べたように、このアキュームレーターはABCシステムの各箇所に装備されており、ダンパー機能が低下しているアキュームレーター個々の見極めは困難な内容となります。
経験的にはまずポンプに装備されているダンパーから…場合によってはアキュームレーターだけで改善せず、ポンプ等の交換が必要になるケースもあります。
またABCシステムはそのタンク位置と配管の関係上、タンク内のフルードを一旦排出した後は非常にエアが抜けにくい構造なので、テスターでの操作を駆使して最終的にレベル調整。
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