クランクロックの悲劇/ベンツC180

スターターモーターが作動しない…という案件にて、業者様より修理お預かりした、W204モデル/ベンツC180の作業です。

症状内容を聞いただけではスターターモーターの不良や、もしくはスターターモーター出力制御系(EZSやELV等)の問題かと予測する内容。

 

しかし、入庫した現車を確認診断したところ、まさかのクランクロック

レンチを使用してもクランクシャフトが全く廻らない状態なので、正常なスターターモーターであっても作動できない状態です。

 

エンジンが回転できない原因は、バルブタイミングの過大なズレによるピストン/バルブの干渉に伴う内燃機破壊

M271系エンジンではカムアジャスターの不具合によるバルブタイミングトラブルが事例として多く、数年前よりメーカーからリコールが発表されています。

このカムアジャスタートラブルに伴うエラーを検知/チェックエンジン点灯しているにも関わらず放置しておくと、今回のようなエンジン破壊へと進展してしまう可能性もあります。

 

今回のエンジンではバルブタイミングの相違によりピストンとバルブが干渉→一部のバルブが曲がってしまったことに起因し、バルブのセット長に大きな狂いが生じているのが確認出来ます。

曲がって閉じないバルブの存在(バルブのセット長が下がっている箇所)により、ピストンは干渉して上昇できず=エンジンが回転できない理由

 

その為、現車のエンジンを車両より取外し…エンジン分解後の内部損傷度合いによっては、エンジンの復元が困難な状況も考えられます。

 

そういった理由から、依頼先である業者様が探してこられた「中古エンジン」に載せ替え作業の進行

 

エンジン搭載後は各油脂類の充填及びテスターでのセットアップ等を実行し、無事作業完了です。

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