エンジンをかけると「タンタンタン…」と打音が発生してしまう状況に陥った、2015yキャデラックエスカレードの診断です。
ステソスコープで聴診すると、左バンク側シリンダーヘッド内より打音が聴きとれるので、バルブカバーを取り外してバルブクリアランス状態を確認します。
各気筒を圧縮上死点位置にてロッカーアームの「遊び」を確認すると、No7シリンダーのIN側ロッカーアームのクリアランスが異常に過大になっているのが伺えます。
ロッカーアームを手で持ち上げると5mm以上の遊び…プッシュロッドに曲がり等の問題が無ければ、リフター及びカム等の損傷が予測できます。
OHVエンジンの為、シリンダーブロックに挿入されているバルブリフターの点検を進めるには、シリンダーヘッドを取り外さなければアプローチ出来ません。
取り外したバルブリフターを確認すると、問題のNo7シリンダーIN側リフターが下がっている(縮んでいる)のが判明。
この縮み代によってロッカーアームに過大なクリアランス(遊び)が発生し、打音が発生していたものと判明。
このキャデラックには気筒休止システムが備わっており、No7シリンダーは気筒休止用のアクティブ(AFM)リフターが備わっている気筒となります。
このAFMリフターの機械的損傷により折りたたまれた状態に陥り、正常なリフターに比べて短く縮んだままになってしまう不具合。
このトラブルはメーカーのサービスブルティンでも報告されており、「カチカチ音が聴きとれる/失火症状が発生する」といった諸症状では損傷したAFMリフターの可能性があるので点検が必要とされています。
この異音トラブルは早期対処であれば縮んだリフターのみの交換で対処出来ますが、打音状態継続進行によりリフターのローラーが損傷してしまう→カムシャフト摩耗により交換が必要といった二次災害を招く危険性もあるので要注意です。
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