インジェクター変更に伴う同期処置/BMW320i

チェックエンジン警告が点灯し、特に始動直後のエンジン不調が著しい状態の、E91モデルのBMW320iの診断です。

テスターを使用してエンジン不調症状に直接関係するディフェクトメモリーを確認すると、あらゆる気筒に対するミスファイアを検知しています。

特定の気筒に対してミスファイアが発生してしまう原因箇所として、まず思い浮かぶのはイグニッションコイルやスパークプラグと言った点火系の不具合。

しかしダイレクトインジェクター（直噴）を採用しているN43系エンジンでは、燃焼室に直接挿入されているインジェクタートラブルの事例も多い箇所です。

DMEのステータスデーターを表示させ、各気筒の不正回転値の実測データーを比較して、特に問題となっている気筒の点検。

ポート噴射のインジェクターと異なりダイレクトインジェクターは、燃焼/圧縮環境に耐えうる強固な構造をしており部品単価も高額な為、交換が必要と判断される気筒を絞り込みます。

BMWではインジェクターを変更する場合、テスターを使用して同期処置を実行しなければいけません。

よりシビアに求められる直噴インジェクターの噴霧調整値は、実際の噴射燃料量がDMEで制御された理論上の燃料噴射量に対し、個々の製造誤差にて僅かに外れてしまうため、個々のインジェクターに対する調整値が生成されています。

DMEに保存されている既存の調整値を、テスターのサービス機能から変更する個別のシリンダーに対し、使用するインジェクターの噴射量調整値をプログラム。

この処置を行わなければ、インジェクターの燃料噴射調整値にズレが生じているので、ユニット内部での演算処理による噴射量補正が正確に行えず、結果エンジン制御に大きく影響を及ぼすことになります。

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