損傷したHEMIブロック…/クライスラー300C

冷却水漏れによるオーバーヒートにて修理作業した後エンジンがかからなくなった…という案件にて、業者様より修理ご入庫頂いた、2006yクライスラー300C。

搭載されているエンジンはV8/5.7LのHEMIエンジンとなり、症状的にはスターターは廻れど全く始動する気配なし。

 

エンジン始動条件の基本となる、各気筒への燃料噴霧やスパークプラグも着火は問題なし…しかし初爆すら発生せず、クランキング後のプラグの状態はガソリンでカブってしまう状況。

しかしそれよりも気になるのが、あまりに軽く回る感のあるクランキング…抵抗感を感じられぬ嫌な予感がする回り方です。

 

その嫌な予感は的中して...圧縮圧力を測定すると、基準より大幅に下回る数値。

 

それも8気筒のうち6気筒は下回っているどころか圧縮圧力0…原動機として全く機能していません

圧縮が無くなってしまった原動機=エンジンを分解しないと損傷している箇所/原因は分かりませんが、過大な修理費用が必要と予測されます。

 

その為、プラグホールよりファイバースコープでシリンダー内視検査を行うと…ピストンの端が欠けて損傷している画像がモニターに。

 

また別のシリンダーではリング状の金属片らしきものが…おそらくシリンダーヘッドより脱落したバルブシートリングと予測できます。

 

上記モニタリング結果により、損傷したピストン=シリンダー壁面損傷のため、ピストン交換はもちろん損傷したエンジンブロックを修復するにはスリーブ加工が必要

またバルブシートリングが脱落したシリンダーヘッドも、シートリング組付け加工及びシートカットはもちろん、脱落=異常加熱による歪み等によるものとも考えられるので、面修正加工…何れも現実的でない修正修理費用がかかってしまいます。

UG/yoshida



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