ある時突然、シフトレバーが操作できなくなり自走不能に陥った、2015yダッジチャレンジャーの診断です。
シフトレバーがPポジションから操作できない状態なので、シフトレバー横にある強制解除リボンを引いて積載車での搬送入庫です。
wiTECHにてDTC(故障コード)を確認すると数多くのエラーを検知していますが、数種のECUが「電動ギアシフトモジュールとの通信消失」を検知しています。
LAモデルのチャレンジャーのシフトノブは一見普通の機械式レバーに見えますが、電動ギアシフトモジュールとなりCANで制御されるECUの一つとなります。
症状及び入力されているDTC内容からまず、電動ギアシフトモジュール(ESM)の内部制御不良等が予測されますが、更に診断を進めるためにTCM(トランスミッションコントロールモジュール)へアクセスすると、モジュールの否定的な反応メッセージが表示される状態に陥っています。
いわゆるCANBUSトラブルによりコントローラーエリアネットワーク-C回路の障害が発生しているものと考えられます。
そして時折りエンジンが始動しているにも関わらず、BCM(ボディコントロールモジュール)を起点としてCAN-Cネットワークが成立せずに、多くのECUがネットワークエラー(赤色表示は通信消失しているECU)に陥る始末。
明らかに何れかのECU内部不良によるネットワークウイルスによって、CAN-C回路がスリープしてしまっている症状と考えられます。
あるひとつのECU内部不良により、そのECUがスリープ(起動しない)だけならまだいいのですが、不良ECUの故障度合いによってCANラインにノイズを発生させてしまい、同じネットワーク(今回であればCAN-Cコネクター)全てのECUがCANラインノイズにより応答拒否状態に陥る症状。
しかしそういったCANBUSラインに接続されているユニットは各ECUだけとは限らず…例えば後装着によってCANラインに接続/取り付けられているユニットも(今回は後装着品であるステアリングのLEDシフトライトディスプレイ用CANBUSユニットによるもの)
そういった後付けCANBUSユニットの内部不良によって、接続しているCANラインにノイズを送信=ネットワークウイルスを拡散してしまっている場合、テスターのトポロジーモニターだけでは判断出来なくなるので要注意です。
最終的には未更新状態であったECUのアップデートフラッシュ等も行い、今回の作業も無事完了です。
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